私の読書の履歴書25 20代前半12

子供の頃から空と海を、見るのが好きだったんだ。
何も考えないで、ただただ眺めているだけなんだよ。
そういえばちょうど20代前半の頃、男5人というむさいメンバーで海に行った。
4人は家を出た時点でズボン(パンツと言ったほうがいいのか?パンツの下に海パンって表現、なんかおかしくないか?だからズボンにしたんだけど)の下に海パンをはいていた。
私は海に入るつもりはまったくなかった。
海を見れる。それだけで楽しかったし嬉しかった。

4人が海で泳いだり騒いだりしている間、私は途中で買った缶ビールを飲みながら、遊泳区域のずっと向こうの海と空の境界あたりを何も考えずに何も思わずに、ずっと眺めていた。
4人は代わる代わる海に入ろうと言ってきたけど、私はいいから遊んでろと言って、ビールを飲みながら遠くの海を眺めていた。
ときどき波しぶきとカモメと船の白が見えた。
雲はまったくなかった。かと言って、空と雲が一緒になることもなかった。空はずっと静止した青だったし、海は動く青だった。

夕方になり、風が冷えてきたので、私たちは近くにシートを広げた3人組の女性のことを言いながら駅に向かった。
このぐらいの歳の男の会話だ。想像つくでしょ?

ある夏の終りが近づいていた夜。
海に行ったのとは違う友人2人と私で、当時の私の家の近くにある丘のような山に行ったことも記憶にある。
その日は月はすでに沈んだのか新月だったのか、空には光っていなかった。
今よりも夜の光が少なかった頃だ。
よく見れば、天の川が見えそうな夜だったけど、さすがにそこまでは見えなかった。見えそうだっただけだ。
私たち3人は、その山へ着く直前まで、酒の勢いもあって大きな声で会話しながら自転車に乗っていた。
当時はまだ、今のような自転車に対する法律はなかったんだよ。

でも、山に着いて、空を見上げてからは3人とも一言も言わなかった。
真上近くには夏の大三角形があった。
北の空には決して沈むことがない北極星が光っていた。北斗七星、カシオペア座も。
さそり座が南の低い位置にあった。サソリの心臓、赤く光るアンタレス。

私は途中まで星座と星座の神話を思い出していたんだけど、途中からどうでもよくなった。
海を眺めるのと同じように、何も考えず、何も思わずに、ただただ夜空を眺めた。
流れ星を3つ見た。
でも願い事なんて浮かばなかったし、何か願おうとも思わなかった。

3人はほぼ同時に視線をもとに戻し、お互いを見た。
盛ってない。ほんとにそうだったんだよ。
友人の一人が言った。
「あの星のどれかが今爆発して砕け散っても、俺らには何百年何千年後じゃなきゃわからないんだよな」
そういった友人はもう、この世界のどこにもいない。
星になったなんてことは言わないけど。

だからどうしたと言われても困るんだけどね。
オチもストーリーもない。
今回、これから話そうと思っている本を思い出していたら、同時に浮かんできた過去の記憶だから。

さて、そういうわけで、本題に入ろう。

スポンサーリンク


Contents

●宙の名前

あの名ドラマ「白線流し」に出てきた本で、たぶんこのドラマがきっかけでそこそこの値段がするのに、けっこう売れた本。
登場人物たち全員に応援してたな。
主題歌がスピッツの「空も飛べるはず」だったのも、挿入歌もスピッツの「Y」「ロビンソン」だったのも、個人的にはとてもよかった。

って本の話をしようか。

夜空に関する名前を写真が載っている本なんだけど、まずはなにはともあれ写真が綺麗なんだよ。
そして、日本人って、日本語って、こんなに豊かで、こんなに美しいものなんだなって思えるんだ。

昼の空版の『空の名前』が先に出てるんだけど、こっちが好きだなぁ。
たとえば

月の剣 つきのつるぎ
三日月の異称で、形が剣に似ているところからついた呼び名です。また、形が眉に似ているところから、月の眉ともいいます。
月のまゆ峰に近づく夕間暮れ(元永二年七月内大臣殿歌合)

月の鏡 つきのかがみ
月の形を鏡に見立てたもので、満月または晴れ渡った月のことをいいます。また、月影をうつす池水の面を澄みきった鏡にたとえた言葉でもあり、月の真澄鏡(つきのますかがみ)ともいいます。
山水(やまみず)にさえ行く月のますかがみ こほらずとても流るとも見ず(藤原定家)

   光琳社出版 宙の名前 p.32より引用

っていう感じ。
今のは月の名前なんだけど、ほんと月ひとつに多くの名前をつけているんだ。

この他に夜空、春夏秋冬の星座・夜空に関する名前が載ってるんだよ。
ガラケー時代からしばらく、私は「月の鏡」をハンドルネームにしていた。この本を読んだからだよ。

この『宙の名前』なんだけど、元の出版社である光琳社出版は倒産しちゃってね。今は角川書店から出てる。
光琳社出版の時の表紙の方が好きだな。

宙の名前新訂版 [ 林完次 ]

 

楽天で購入

 

 

 

Amazonはこちら – 宙の名前 新訂版

●月の本

この本も今は角川書店から出てるんだけど、私が持ってるのは光琳社出版の方。
タイトルのとおり、月に特化した内容。

月のはなし、月の神話、月の科学、月の神秘、月のことば、月の本っていう感じで、全部「月」に関することが、きれいな写真や図・絵と共に載ってる。

世界の月の神話は興味深かったし、今でもふと読み返してる。

月の本 [ 林完次 ]

 

楽天で購入

 

 

 

Amazonはこちら – 月の本―perfect guide to the MOON

というわけで、今回はここまで。
月が守護星なのは蟹座なんだけど、私は蟹座じゃないんだよね。
私の守護性は太陽。獅子座なんだよ。

でも、10年以上、月が気になっていたし、興味があった。
月って、誕生が今でも確定していないんだよ。地球の大きさに対して衛生としては大きすぎるとか、空洞説とか、なんで表しか見えなくて裏が見えないのかとか、いろんな謎や不思議があるんだよね。

もしかしたら私の知識が古いだけで、今は解明されてるのかな?

次回からは20代後半に読んだ本に入る。

スポンサーリンク