蒼林堂古書店へようこそ – 乾くるみ

Contents

■古本屋の奥にカウンター。
そこでコーヒーを飲みながら日常系ミステリを解決

私が買ったのは望月けいさんのイラスト画の表紙。ネットで買うと、上の画像の表紙なのかな?
このブログを書こうと思って検索したら楽天ブックスもAmazonもこの表紙なんだよね。
ま、いいっか。内容が違ってるんじゃないから。
まずは、ざっと内容紹介。

書評家の林雅賀が店長のミステリ専門の蒼林堂古書店。
奥のカウンターには、おもにインターネットでの取引が多い店だが、店で100円以上の本を買うと、カウンターの横にある小さなスペースに並んである椅子に座り、コーヒーを飲めるうえに、何時間でも居ることができる。
日曜日にはバツイチで林雅賀の同級生の大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶが集まり、自分たちに起きた小さな謎解きを楽しんでいる。
いわゆる日常系ミステリの連作短編集。

各話のあとにある、林雅賀のミステリ案内が充実していて、短い文章なんだけど読みたい本が増えてしまうという、嬉しいおまけ付き。

詳しい感想は目次のあとで。

■目次

1 秘密結社の集い
2 アルプスの朝陽
3 都市伝説の恐怖
4 マネキンの足跡
5 通知表と教科書
6 臨光寺池の魔物
7 転居通知と名刺
8 鉄道模型の車庫
9 謎の冷蔵庫メモ
10 亡き者を偲ぶ日
11 楽天的な愛猫家
12 塔に住む魔術師
13 転送メールの罠
14 解読された奇跡

林雅賀のミステリ案内
1 ヒッチコックと推理小説
2 邪魔が入らない場所
3 土俗信仰から都市伝説へ
4 日常の謎
5 長編連作とつなぎの作品
6 誘拐ミステリの世界
7 共同住宅が舞台のミステリ
8 鉄道事故とミステリ
9 名探偵と犯人の対局室
10 故人の想いを探る
11 猫と童話ミステリ
12 謎の墜落死
13 ミステリアスな女性
14 あの人は正体不明

■さすがどんでん返しの名手
どんでん返しはないけれど、最後の最後に仕掛けがある

乾くるみさんといえば『イニシエーション・ラブ』のどんでん返しでやられた人は多いはず。

で、この作品、徳間書店が2007年~2011年8月まで出していた本のPR誌に、2009年1月号~2010年2月号まで掲載されていた作品をまとめた、徳間文庫オリジナル版とのこと。
連載作品で短編ということもあって、各話とも冒頭に蒼林堂古書店と登場人物の説明があるのは、それはそれで仕方がないんじゃないかな。

日常系ミステリなので、大きな事件は起きない。
登場人物それぞれが体験したり聞いたりした小さな謎を、みんなで推理して、最後は探偵役(?)の店長、林雅賀がさらっと解決するスタイル。
なんだけど、最後の「14 解読された奇跡」では、どんでん返しではないけれど、ちゃんと仕掛けが用意されているんだよ。どんなものなのかは、もちろん言わない言えないけどさ。

各話もほっこりした感じでいいんだけど、話が終わった後の「林雅賀のミステリ案内」が、これまたいいんだよ。
おかげで読みたい本が一気に増えたけどね。
この「林雅賀のミステリ案内」も、最後の「14 あの人は正体不明」までちゃんと読むことをおすすめする。
ミステリファンじゃなくても読みたい本が出てくるから。

というわけで、やっぱりミステリを未読の方に紹介するのって厳しいね。
これ以上は言わないことにして、いつもより短いけど今回はこれで終わりにしとく。

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