阪急電車 – 有川浩(幻冬舎文庫)

Contents

■阪急電車を舞台に繰り広げられる
出会い、別れ、人と人との繋がり

隣りに座ったのは、図書館でよく見かける人だった。
その二人のやり取りを、離れたところから見ていたのは、純白のドレスのような衣装を着て、引き出物を持っている美しい女性だった。
孫と一緒に電車に乗った女性は、孫を座らせて女性の隣に立った。
ドレスの女性が降りたあと乗ってきたカップルは喧嘩をはじめ、男性が荒っぽく、孫が泣き出した。

人々はときに出会い、別れ、すれ違い、つかの間つながる。
片道15分の阪急電車の今津線を舞台に、人々の物語を乗せて、電車は走る。

感想は目次のあとで。

■目次

宝塚駅
宝塚南口駅
逆瀬川駅
小林駅
仁川駅
甲東園駅
門戸厄神駅
西宮北口駅

そして、折り返し。

西宮北口駅
門戸厄神駅
甲東園駅
仁川駅
小林駅
逆瀬川駅
宝塚南口駅
宝塚駅

あとがき
解説 児玉清

■久しぶりに本を読んで
 胸がキュンとなった

有川浩さんの本を読んだのは、この『阪急電車』が最初だ。
図書館戦争シリーズや『三匹のおっさん』や『塩の街』など、気になってはいたんだけど、読む前に有川浩さんの物語は胸がキュンとするという感想をあちこちで見ちゃったから、おっさんが読むのはどうかと思って、ずっと後回しにしてきた。

ここ最近、小説をほとんど読んでいなかったので、ノンフィクションは一度脇に置き、小説をまとめて読む期間にしようと思って、積ん読の小説の背表紙を眺めたんだけど、どうも今読みたいと思うものがなくて、書店に行った。
長編でも短編集でもなく、連作短編集が読みたい気分だったので、書店についてからスマホで検索。
いろいろ出てきた中から、書店にあるものを手に取り、表紙絵と裏表紙、冒頭の数ページを読んで、数冊買った。

ずっと後回しにしていた有川浩さんの本を読もうと思ったのは『阪急電車』の解説を児玉清さんが書いていたからだ。買ったあとで思い出したんだけど、なにかの雑誌の対談だったか著者へ向けた文章だかで、児玉清さんが有川浩さんのファンだったことを思い出した。

とまあ、そろそろ『阪急電車』の感想に入るけど、読後の第一印象は、
「もっと早く読んどきゃよかった。何やってたんだ自分」

20代の、胸をキュンキュンさせていた自分を思い出したよ。同時に今の自分の目線で読んでも「いいなぁ、こういうの」とか思ったよ。
久しぶりに時間忘れて読んで、気がついたら夜中の3時で、これまた久しぶりに読書で寝不足で仕事ってのも体験したけどね。さすがにこれはつらかった(仕事が)。
徹夜できなくなったのって、何歳からだったかなって思い出してみたけど、思い出せないくらい前のことだった。

図書館でよく見かける女性。自分が借りようと思っている本をいつも先に借りていて、そうじゃない本もたまに見るとなかなかいいセンスをしている。読書の好きな傾向が似ている。
しかも好みの女性。
そんな人が電車で隣りに座った。
あぁもう、日常じゃこんなこと起きないってのは、この歳になれば重々承知しているのに、このシチュエーションはド定番でありながら、やっぱりいいなぁって思ってしまう。

複数の登場人物の物語が展開しながら各駅を通過し、折り返して、最初の駅に戻る。
戻りの物語も、これがまたやめられないのが、深夜まで読書してしまった原因だ。

というわけで、今さらだけど、図書館戦争シリーズにも手を出そうと思った、そんな作品だった。

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