アルケミスト – 著/パウロ・コエーリョ 訳/

2018年3月7日

Contents

■夢を信じて見つける物語

主人公サンチャゴは羊飼い。
旅がしたいって理由で、親の反対をふりきって、旅をするために羊飼いになった。
羊のことならなんでも知っている。
彼は何度も同じ夢を見ていた。彼を待つ宝箱が、世界のどこかにあるという夢。その夢を信じて、アンダルシアからエジプトへ向かって旅に出る。
長年、慣れ親しんだ羊を売り、様々な出会いと別れを繰り返し、障害と壁を超えて、エジプトへ。

■印象に残った場面、言葉

サンチャゴはメルキゼデックと名乗る老人と出会う。
メルキゼデックは、旧約聖書に出てくる人物。文中では、夢を信じて、夢に向かって生きている人の前に、人間だけではなく、いろいろな形で現れると言ってる。
サンチャゴの前には、老人の姿で現れる。この、サンチャゴとメルキゼデックの会話が、印象に残るものが多かった。

・運命とは自分がいつもやり遂げたいと思ってきたこと。
・自分が誰であろうと、何をしていようと、何かを本当にやりたいと思う時は、その望みは宇宙の魂から生まれたから。それが地球における自分の使命。
・人生のすべてには代価が必要。
・前兆に従って進み続ける。
『アルケミスト』より抜粋引用

潜在意識や引き寄せの法則について書かれた本を読んだことがあるのなら、これらの言葉は、理解しているかどうかはともかく、知っているはず。
改めて、これらの言葉や場面に出会い、忘れかけていたことを思い出した。
後半、サンチャゴは錬金術師と出会う。
ここでも、印象に残った場面、言葉があった。

・大いなることばを理解するためにもっとも重要な資質は勇気である。
・人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助ける。
・学ぶ方法は一つしかない。それは行動を通してだ。
・傷つくのを恐れることは、実際に傷つくことよりもつらいことだ。
・目はその人の魂の強さを示す。
『アルケミスト』より抜粋引用

こちらは、メルキゼデックとの会話よりも、一歩、いや、数歩進んだ言葉が出てくる。

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■読後の感想

引き寄せの法則についての物語。
これが読後の第一印象。

引き寄せの法則は否定しない。ただ、あまりにも安易なことしか書いていない本があるのは残念だ。錬金術師の言葉にある「人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助ける」の、「本当に何かを望む時」。
この、本当に望んでいることがわからないまま、お金がほしいとか、恋人がほしいとかと望みではなく、欲望を願い、イメージした結果、引き寄せられないという人が多いのは、その人が悪いのではなく、表面だけしか書いていない本に出会ってしまったからだと思うんだけどな。

生まれてから今までで、家族や血縁、友人、知人。テレビや雑誌などのマスメディアや広告。
これらに言われたり、見たり、聞いたりしたものが、自分が「本当に」願っていること、望んでいることを見えなくしてしまっている可能性が高い。

広告は、企業が企業イメージをあげたり、商品を買ってもらうために作るもの。
それなのに、多くの広告に触れることで、知らず知らず、広告で見たもの、読んだもの、聞いたものが、幸せのイメージとして、知らず知らず刷り込まれてる。

サンチャゴはメルキゼデックと錬金術師との出会いを通して、自分の夢を叶えるためだけではなく、人生の知恵も学んでく。
そして、聞く、知るだけではなく、実際に「行動」する。

自分は、本当は何を望んでいるのか。
どんな人生を送りたいのか。
その人生を送るために、今できることは何か。
表面だけの上っ面なことしか書いていない本には、このようなことすら書いていない本もある。

サンチャゴは、宝物を見つけるために、様々な障害と壁にぶつかる。しかし、決してあきらめない。あきらめかけるけど、あきらめない。行動し、前に進む。
障害や壁からも、何かを学び、何かに気づき、時間がかかっても、決してあきらめない。

あれこれと自分で自分に言い訳をして、自分で自分に嘘をついて、何もやらない、やってもすぐにあきらめていては、夢を叶えることなんてできっこない。ちょっと考えればわかることだ。願っているだけで叶うんなら、世の中、夢を叶えた人だらけだ。

本心からやりたいことがあるのなら、それをやるべきだ。あきらめずにやり続けるべきだ。
結婚して、子供ができて、仕事も責任ある立場になり、いろんな条件やしがらみができる。
それでも、今やれることはあるはず。
「人生のすべてには代価が必要」なんだから。何かを失わなければ、何を得ることはできないんだから。
今までやってきたこと、やり続けていることで、やりたいことをやるために払う対価、つまり、時間とお金の浪費をなくすことや、何かをやめること。
私はまず、スマホとパソコンを見る時間と回数を、意識して減らした。
メールチェックの回数、スマホの通知を見る回数、アプリで遊ぶ時間。
これらを、いつ見るか、いつ遊んで、一日に何時間までにするか。
親が子供に言うことのようだけど、案外、大人にも当てはまることが、けっこうあるものだ。

私は、自分が生きたい人生を生きるための第一歩として、読書の時間を増やすことにした。
思えば、パソコンでインターネットに繋いでから、スマホを持ってから、読書の時間が極端に減っていた。
パソコンに向かう時間とスマホを手に取る時間を削ることで、読書の時間を確保。
結果、1ヶ月に読む本の数が、5冊から10冊に増えたよ。
あ、ちなみに私、速読はできない。

引き寄せの法則だとか、秘密だとか、隠されたとかという言葉そのものにも疑問を感じる。
今や文庫本でもかなりの数の、引き寄せの法則、潜在意識について書いてある本がある。
ここまでくれば、秘密でもないし、隠されてもいない。

まあ、大前提として、目に見えなくて科学でも証明されていないことなので、信じる信じないということになる。

夢をかなえるための知恵と物語。
またいつか、読み返すんだろうな。

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