宇宙は何でできているのか – 村山斉

2018年3月7日

Contents

■素粒子物理学と見たり読んだりしただけで拒否反応が出る人でもわかる、基本中の基本が書いている本

 中学生の時から、数学は苦手だけど、宇宙論は大好き。
 そんな私は、なるべく数式が出てこない宇宙論の本を探して読んでいる。
 2012年にヒッグス粒子が見つかったというニュースを見たときは、正直ヒッグス粒子ってけっきょくのところどんなものなのかわからないけど、すげぇものが見つかったんだなという感想を抱いた。
 『宇宙は何でできているのか』は2011年初版。ヒッグス粒子が発見される前に書かれた本だけど、素粒子物理学のほんとに基本中の基本のことが書いていて、素粒子とか物理とかという言葉を見ただけでスルーしてしまうような人にも、簡潔でわかりやすい文章で説明している。
 宇宙論、素粒子などを少しでもかじったことがある人には、物足りないかもしれないが、以前、何かの本で読んだけど、自分の言葉で説明できないようなら、この本を読んでもう一度学んでみるのもいいかもしれない。

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■目次

序章 ものすごく小さくて大きな世界
第1章 宇宙は何でできているのか
第2章 究極の素粒子を探せ!
第3章 「4つの力」の謎を解くー重力、電磁気力
第4章 湯川理論から小林・益川理論へー強い力、弱い力
第5章 暗黒物質、消えた反物質、暗黒エネルギーの謎
あとがき

■暗黒物質、反物質、暗黒エネルギー

『宇宙は何でできているのか』では、現在でもよくわかっていないことや、解決に至っていないことも紹介している。それが暗黒物質、反物質、暗黒エネルギー。  これらの言葉は聞いたことや見たことがあるかもしれない。  ざっくりと書くだけなので、基礎的な知識はこの本読めばわかるから、勘弁してほしい。  暗黒物質とは、宇宙全体の原子の約5倍あるとされている物質で、この暗黒物質の重力がないと太陽系は、天の川銀河に留まることができないとか。  でも、存在しているという理論があり、観測もされているけど、どこの国も、誰もその物質を検出できていない。  CERN(欧州原子核研究機構)が建設して2010年に稼働したLHC(大型ハドロン衝突型加速器)で、検出できないなら作ってしまえという信長的発想で実験に取り組んでいる。  ちなみにこのLHCでの実験で、ヒッグス粒子が見つかっている。  で、反物質。すべての粒子にはプラスのものとマイナスのものがある。物質というのは粒子の集まりで、反対の性質を持つ粒子が集まってできたのが、反物質。  0.25グラムで原爆なみのエネルギーを持っているっていうから、たいしたものだ。  でもこの反物質、物質に触れると消滅してしまう。0.25グラムの反物質を作るには、1兆円の1億倍の電気代が必要だとか。これだけのお金を使って0.25グラム。しかも、物質に触れると消滅する。  ただし、この宇宙ができて間もないころは、反物質も多数存在していた。それがどうなって、今の宇宙になったのかってことも、本に書いているので、興味を持ったら、さっそく読もう。  そして暗黒エネルギー。  たとえば、何かが爆発したとしよう。  爆発したエネルギーは、爆発した地点から離れるにつれ、薄まっていく。つまり、威力が減っていく。  でも、なぜかこの宇宙は、膨張するにつれ、速度が速まっていることがわかってしまった。それを説明するのが暗黒エネルギー。  で、膨張速度が速まっているということは、この宇宙は将来どうなってしまうのか?  いくつかの理論が書いているけど、今のところはわからないそうだ。  宇宙論を読むと、宇宙だけじゃなく、地球のことだって、自分の体や脳みそのことだって、自分がぜんっぜんわかってないってことがわかる。  で、ちょっとでも知りたいから、本を読む。  そして、残念なことに忘れていくから、また本を読む。すると、以前読んだときにはわかっていなかったことが解明されていたり、発見されている。  だから、読書はおもしろい。

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