日本が売られる – 堤未果

2020年9月12日

Contents

■テレビも新聞も伝えない(伝えられない?)けど、
今、日本で起きている、あなたが知らない現実

日本の土地が海外に買われていることや、水道の民営化がかなりやばいことだってことは、以前から知っていたんだけど、この本を読んで、あれもこれもやばいのかと、日本の今と将来に光が見えなくなりそうになったよ。
第3章で各国がどうしているか紹介されているのを読んで、まだできることがあると知って、ほんのちょっぴりだけど安心したけどね。

でも、誰も何もしなければ、この国はいろんなものがどんどん失われていく。
そして失われるものは、私たちの命、生活、人生に関わるものばかりだ。
動く前に知ることがとうぜん必要で、知らない人がほとんどだと思う。
だから、まずはこの本を読んで、今の日本がどれだけやばいのか知ってほしいんだ。

水道民営化法案はオウム真理教死刑執行のニュースの影で可決され、主要農作物種子法は森友問題の話題で盛り上がっている影で可決された。

水道の民営化は世界中で公営化に戻しているという事実。
民営化したせいで、利益重視の企業が水質を落とし、古くなった水道管も交換しないまま。人件費を削るために現場は人手不足。こんな状況で、命に関わる水の管理を、なんで日本は進めているんだろう?

主要農作物種子法に関しては本書を読んでほしいんだけど、これはそうとうやばい。
遺伝子組み換え種子が主力になり、農薬もセットで売られる。その農薬もなかなかやばいものだ。
長年積み重ねたデータがないので、確定はできないけれど、その農薬を使っていない食品に切り替えたら、アトピーや自閉症、アレルギーが改善した報告が世界中で出てきている。
ミツバチが大量死する原因とも言われている農薬だ。
そんなタネと農薬を、日本は今、自分の国の農場に広めようとしているんだよ。

遺伝子を組み換えたタネからできたものを、今の日本人は知らず知らず食べている。
日本が輸入しているトウモロコシの78%、大豆と菜種は92%が、遺伝子組み換えがおこなわれたものだ。
納豆は体にいい。納豆菌やナットウキナーゼは健康にいいと言われてるけど、その大豆そのものが遺伝子組み換え大豆だとしたら、全面的に体にいいかどうか判断に迷うよ。

スナック菓子にはトウモロコシを原材料にしているものが、以前と比べて増えた気がするんだけど、そのトウモロコシだって、もしかしたら遺伝子が組み換えられたものかもしれない。

本書でもはっきりとしたことはいえないと言ってるけど、どうもこの遺伝子組み換え食品と、セットで使われている農薬の両方がどうも怪しく思えてくるんだよね。

「遺伝子組み換えではない」って表示されてるけどっていうかもしれないけど、今後はその表示をしなくてもいいようになったって知ってた?
知らないうちに何かが変わってる怖さって、こういうことなんじゃないかな?

牛乳も、発がん性が疑われるホルモン剤を使った牛の牛乳が出回る。

そして、農地は海外の資本家に買われていく。
いや、すでに買われている。
山も森も林も、どんどん、今現在も買われている。

利益重視で、自分の国じゃないから、日本の農地や山、森、林がどうなろうと関係ない、そんな外資系企業に買われている。
彼らは、使えなくなったら、用済みになったら、対策も保証もせずに、足早に日本から去るだけだ。
豪雨、地震、台風、大雪などの天災に対する防御を失った土地に残されるのは、私たち日本人だけなんだよ。

不思議にね、テレビや週刊誌やネットニュースなど、多くのメディアが何かしらのことで大騒ぎしているときに、私たちの命、人生に関わる法案がひっそりと可決されて、それをどこのメディアも報道しないんだよね。
不思議だねぇ。
だからこれからは、メディアが大騒ぎするようなことが起きた時は、衆議院や参議院のサイトを見てみたらいい。
そこで何かが可決されているかもしれないよ。

ひとつだけ余談だけど、さっき話した農薬会社。
社食では自分たちの農薬を使ったものじゃなくて、有機栽培されたものを出しているらしい。
どうしてだろうね?

目次を紹介したあと、もう少し話を続けよう。

■目次

まえがき いつの間にかどんどん売られる日本!
第1章 日本人の資産が売られる
(水・土・タネ・ミツバチの命・食の選択肢・牛乳・農地・森・海・築地)が売られる
第2章 日本人の未来が売られる
(労働者・日本人の仕事・ブラック企業対策・ギャンブル・学校・医療・老後・個人情報)が売られる
第3章 売られたものは取り返せ
1 お笑い芸人の草の根政治革命~イタリア
2 92歳の首相が消費税廃止~マレーシア
3 有機農業大国となり、ハゲタカたちから国を守る~ロシア
4 巨大水企業のふるさとで水道公営化を叫ぶ~フランス
5 考える消費者と協同組合の最強タッグ~スイス
6 もう止められない!子供を農薬から守る母親たち~アメリカ
あとがき 売らせない日本
参考文献

■私たちの未来の光が弱くなっていく

高度プロフェッショナル制度(以下、高プロ)は、じつは役職が上じゃなくても、適用される可能性があるって書いてるのを読んで「マジかよ」って声に出しちゃったんだよ。

詳しくは本書を読んでもらうことにして、平均的なサラリーマンも適用される可能性があるってことらしい。
この高プロの怖いところはここだ。

会社はあなたを4週間で4日間休ませれば、残り24日間は24時間働かせても合法になる。
『日本が売られる』第2章 1労働者が売られる p.139より引用

極端な話、こんな働かせ方をしていても「ああ、あの人は高プロですから」って言えば、過労でも何でもなく合法になる。
いやあ、怖いねぇ。

そこへ、これは私も移民政策だって認めたくないだけで、上っ面の言葉遊びにしか見えないんだけど、外国人労働者の増員だ。
年間で5,000人弱の失踪者が出ている状況で、対策も打っていないのに、土台も固めていないのに、法案が可決されるだろう。

雇われている側の最後の砦、労働基準監督署も、大半の業務を民営化しようとしている。
ブラック企業対策は名ばかりになろうとしてるんだよ。

そして教育だ。
公立の学校運営を民間に委託しようとしている。
これはアメリカの失敗と現状が本書に詳しく書いているので、読んでほしい。
子どもたちの学びの場がなくなろうとしているんだから。
残ったとしても、学校はもう機能していない。

そして国民保険。
今の日本の制度はゆるゆるだそうだ。
日本で高度な治療を受けるためのツアーが中国にあるらしい。
それだけ、海外の人が日本で国民保険を使って治療を受けるのはちょろいんだよ。
国民保険っていうくらいだからさ、その治療に使っているお金は、私たちが払っている保険料だ。

老後もやばい。
介護制度が機能不全直前だ。
国は外国人労働者を受け入れようとしているが、日本の現状をじっさいに体験した人たちがSNSで拡散していることもあって、応募者はほとんどいない。
そもそも、日常会話もあやしい外国人労働者が、日本で介護をすることが問題だ。
介護というのは、マニュアルやシステムでできるものじゃないってことは、介護をしたことがない人だってわかる。
一所懸命に日本語を勉強してきても、派遣された先が方言が強い地方だったら、覚えてきた日本語で話すことはできるけど、聞き取ることはできないよ。
同じ日本人でもできないのに。

個人情報。
今さら感もあるかもしれないけど、LINEってあれ、日韓合同の会社に、チャットも会話もつつぬけだって知ってた?
韓国人は今はLINEは使っていない。代わりに使っているのはテレグラムだそうだ。

それと、アメリカ大統領が使ってるスマホ、ブラックベリー。
なぜブラックベリーを使っているのかっていうと、通信がすべて暗号化されて、CIAも解読できないからだとか。
以前は日本でも携帯会社で売られていたのに、いつの間にかなくなって、今はブラックベリーを使うことすら難しくなってるんだけど、どうしてだろうね?

それと、アメリカ人がチャットで多く使うのが、チャット内容が暗号化されるスカイプ。

なんで日本はLINEがこんなにも多く使われているんだろう?
テレグラムやスカイプに比べて、個人情報に限っていえば、危険なだけなのにね。

Gメール、グーグル・マップも、GPSを切っていても、位置情報を把握しているって知ってた?
これは解除する方法が書いてあるよ。

■私たちに何ができるんだろう?

ここからは私個人の思いを話す。
興味がないなら飛ばしてかまわない。
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水、タネ、食べ物、土地、農場、牛乳、海、山・森・林、私たちが生まれたこの国が、失くなっていってる。いや、すでに失くしてしまっている。

遺伝子を組み換えられたタネ、食品に切り替わっていき、どうも怪しい農薬漬けにされたものを、私たちは今現在、美味しいといいながら食べている。

公園には被爆した土が使われようとしている。
その土に含まれている物質は、雨と共に地下に流れ、地下水となり、私たちが飲む水道になる。

働いても働いても残業代が出なくなり、昇給も無くなる可能性が出てきた。
言葉が通じない海外の労働者に、老後の介護をしてもらうかもしれない。
学校は機能を失い、私たちが払っている保険料で海外の人が国民保険で治療し、個人情報はどんどん流れていく。

今、私たちはそんな国に住んでるんだ。

いつからこうなってしまったんだろうね。
まあ、日本はいまだにアメリカの属国だから、アメリカが言うことには逆らえない。
え?そんなことない?
いやいや、なんで日本のあちこちにアメリカ軍が駐留しているのか?軍の敷地を含めた多くの空域を民間の飛行機が飛べないのか?って考えてみて。
どこも攻めてこないのは、けっして憲法第9条があるからじゃないんだよ。
日本のバックにアメリカがいるからなんだよ。

この本の第3章には、そんなグローバル企業から身を守るために動いた、各国の例が紹介されている。
上の目次にもあるけど、ここでもう一度載せておこう。

第3章 売られたものは取り返せ
1 お笑い芸人の草の根政治革命~イタリア
2 92歳の首相が消費税廃止~マレーシア
3 有機農業大国となり、ハゲタカたちから国を守る~ロシア
4 巨大水企業のふるさとで水道公営化を叫ぶ~フランス
5 考える消費者と協同組合の最強タッグ~スイス
6 もう止められない!子供を農薬から守る母親たち~アメリカ

みんな、自分の身を守るのは国じゃなく自分たちだという強い思いで動き、取り返している。

日本人はずいぶんとおとなしくなった。
とはいえ、騒げばいいかというと、そういうこともない。
デモ行進しようが、大勢で国会前でシュプレヒコールをあげようが、何も変わらなかったし、国は聞こうともせずに法案を通した。

じゃあ、私たちにできることはないのかな?
いや、きっとあるはずだ。
それを考えて、実行しなければ、私たちの未来は、いや明日ですら、光は弱く遠いままだ。

個人でやれることはないかなって考えたんだけど、一番やりやすいのは、この本に書いてある企業の商品を買わない、食べない、使わないという個人の不買運動だ。
私一人が買わなくても、グローバル企業は痛くもかゆくもない。
でも、この私の話をここまで聞いてくれたあなたも個人の不買運動をしてくれたら。
それが一人、また一人と増えていったら。

よくある例えだから、いうのが恥ずかしいけど、大きな流れの河は、最初から大きな流れなんじゃない。細くて小さな流れが集まって、大河になる。

とはいえ、難しいのも事実なんだよね。
ま、一気にやらずに、今できることから、ちょっとずつやってみるよ。
国を守るなんて大きなことは言えないけど、自分を守るためだからね。

あなたも、この本を読んで、思うこと、考えることがあるはずだ。
まずはこの本を読んで、知ることからなんだよね、正しく行動するには。

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