向上心 – 著/サミュエル・スマイルズ 訳/竹内均

2018年3月7日

Contents

■名著『自助論』の次に読むべき本■

 福沢諭吉の『学問ノススメ』と共に明治時代に読まれ、100万部を突破した『自助論』から9年後、1867年に完全版が刊行されて以来、読み継がれている本。

 『自助論』は「天は自ら助くる者を助く」という言葉をベースに書いているが、本書『向上心』は「人間いかに生きるか」をテーマに書いている。
 どちらも共通したテーマではあるけど、まずは『自助論』を読み、内容をしっかりと理解してからこの『向上心』を読むことで、本書の理解が深まる。

■目次

第1章 自分を大きく育てる-何が自分の精神・知性を成長させるか
第2章 個性を磨く-いつも自分に誇りが持てる生き方
第3章 自分を生かす働き方-日々、精一杯働いているか、やりがいはあるか
第4章 見識を高める-「人生の教え」をいつ、どこから学びとるか
第5章 よい人間関係をつくる-つき合う相手を糧に自分を成長させているか
第6章 人を動かす-自分の信念に命をかけられるか

 自分はどう生きたいか、どう生きるか。
 ってことを、どうすりゃいいのか見えていなかったり、これでいいのかと迷っていたりしたら、この本に戻って、読み返すのもいい。

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■『向上心』の読後の感想■

『自助論』を読んだ時、やはりそりゃそうだよねと、自分を甘やかしている自分を再確認し、どこか運頼み・神頼みというか、偶然が起こるのを待っているだけのところがあることを、反省。いや、猛省。

 そしてこの『向上心』を読み、当たり前のことを当たり前にやることを再確認。
 書いていることは「当たり前」のことなんだよ。でも、この「当たり前」ができない人が、やっているつもりの人が、そして「当たり前」を知らない人が、現代にいかに多いか。
 そう、私もその一人です。恥ずかしいね。

 やりたいことがあるのに、生きたいと思う人生があるのに、言い訳ばかりしてやらない。
 そうしているうちに、生きるために働いているのか、働くために生きているのかわからなくなったり、自分はどう生きたいのか、自分は何をしたいのか。
 これがあるのに、やっていないのなら『自助論』『向上心』を読んでみては?

 夢とか目標なんかない。毎日楽しければそれでいいって人は、まあ、そもそもこういう本を読もうとは思わないので、ここではそのような方に向けた感想は書いてないけどね。

 自分の人生は自分で切り開くしかないし、自分を変えられるのも自分でしかない。
 これも当たり前のことなのに、あの時あんなことがあったから、自分はこうだから、あの人にこう言われたから、この本にこう書いていたから。
 と、できていない理由、やらない理由を、自分以外の人や物のせいにする。
 その程度の夢や目標だったら、それでいいんだけど、「今の現状をどうにかしたい」「自分をどうにかしたい」と本気で思うのなら、どうしたらいいのか考えて、行動するしかない。

 そしてそれは、自分で考えて行動するしかない。
 本も、人も、そのために参考にしたり頼りにするのであって、本や誰かが自分の性格や人格、人生を変えるのではない。
 どんなに立派な本を読もうが、どんなにその道のプロの教えを受けようが、やるのは自分なんだから。

 そのためには、まずは自分は何をしたいのか、どんな人生をいきたいのか、これを自分で持つこと。
 そうすることで、何をしたらいいのかが見えてくるし、それをやるためにはどうしたらいいのかが見えてくる。わからなければ、その時、本を読んだり、検索したり、時には人に教えを請うたりする。

 これらがわかっていれば、じつは本書をはじめとした自己啓発本は、じつはぶっちゃけ必要ない。
 ただ、これらがわかっていても、一歩踏み出せない自分、自分を甘やかす自分、やってくる不安や障害に飲み込まれてしまう自分、こういう自分のネガティブな部分を乗り越える方法を知りたい時、自己啓発本は役に立つ。

 日々をなんとなく暮らしているうちに、仕事に追われているうちに、いつの間にか、忘れてしまった、失ってしまった自分を取り戻すのにも、自己啓発本は「道」を記してくれる。
 あくまでも道を記しているだけ、標識を立てているだけ。

 なぜなら、繰り返すけど、自分を変えられるのは自分でしかないし、自分の人生をどうするのかも、自分しだいだから。

 私は、弱い人間だから、自分に甘い人間なので、ときおりこうして自己啓発本を読んで、自分を戒めてる。
 ちょっと気を緩めれば、自分を甘やかして、また元の自分、元の生活、元の人生に戻ろうとするから。
 そして、元の自分、元の生活、元の人生に戻った時、後悔する。
 こんな人生を生きたいんじゃないってね。
 そんなことにならないためにも、私はこれからも「長く読まれている自己啓発本」を、たまに読み返していく。

 どの本が、誰に合うかなんてことはわからない。
 その人、その時によって、響く言葉は違う。
 でも、読んでみなければ、書いていることがわからない。

 まずは、数十年、数百年と読まれている名著、良書と言われている本を読み、その中で、その時の自分に合った本、言葉を見つけたら?

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