ボブという名のストリート・キャット – 著, 編集/ジェームズ・ボーエン 訳/服部 京子

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■チャンスは誰にでも訪れている。で、とにかくボブが賢くかわいい。

 この『ボブという名のストリートキャット』の主人公はタイトルにもあるとおりボブという名の猫だけではなく、偶然出会ったボブと暮らすことになった路上生活者のジェームズの実話だ。

 ジェームズは、ミュージシャンを志していた。バンドを組んだこともあったし、そのバンドもデビューするチャンスもあった。しかし、ふりかかかる困難で、いつしかジェームズは薬物中毒になり、路上生活者となり、人生に夢も目的も持てないまま、ただただ日々を過ごしていた。

 そんな彼の前に、野良猫のボブが現れ、ジェームズはなかば成り行きでボブを飼うことになる。

 路上でギターを弾いて日銭を稼いでいたジェームズだが、ボブを連れて行くことで注目され、稼ぎが増えた。しかし、ジェームズはそれには満足しなかった。
 そう、薬物中毒から抜け出し、社会復帰することを当面の目的として生きることを決心する。

 そのように決心したのも、ボブと出会ったから。
 自分のためだけではなくボブのためにも、ジェームズは不安や困難に出会いながらも、一歩、また一歩、人生を歩いていく。

 ほんと、ボブという名の猫が好きなったよ。猫飼ったことないからわからないけど、猫ってこんなに賢いのか?もっときまぐれでわがままだと思ってたけど、こんなに自分以外の存在に対して、思慮や愛や気遣いをするのか?
 自分のことだけを見て考えて思ってる、そんな人が何人か頭に浮かんだよ。
 すげぇな、ボブ。

 ジェームズも、たしかにボブと出会う前と、出会ってからしばらくは、どうにもならない人だった。

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■目次

1 出会い
2 回復までの道のり
3 手術
4 乗車券
5 注目の的
6 二人の職場
7 闘う仲間
8 正式に飼い主になる
9 逃げたアーティスト
10 ひとりと一匹のメリークリスマス
11 犯人にされる
12 ナンバー六三八
13 売れ行きは上々
14 ボブ、体調を崩す
15 シマ荒らし
16 エンジェル・ハート
17 四十八時間
18 家族のもとへ
19 ステーションマスター
20 いちばん長い夜
21 ボブ、ビッグイシュー・キャット
謝辞
訳者あとがき

■『ボブという名のストリートキャット』を
 スピリチュアルと自己啓発の視点から読んでみた

 まずスピリチュアル的に言うと、ジェームズにとってボブは、巡り会えたソウルメイトだ。降りかかる困難も障害も、ボブのためと思ってクリアしていくことが、結果としてジェームズの成長に繋がり、人生が変わっていく。
 路上で歌う時に、ボブを連れて行くことで、通行人はボブに気を取られ、立ち止まる。中には、ボブのためにとお金を払った人もいただろう。
 しかし、ジェームズはこのままではいけないと気づき、働くことを決める。薬物中毒からの完全な脱却を決心する。その第一歩として『ビッグイシュー』を売ることにする。
 ボブとの出会いがなかったら、ジェームズは本書の最初の頃のジェームズのままだった可能性が高い。
 変化が外からやってきて、それを受け入れたという視点から見ると、ボブとジェームズは会うべくして会ったソウルメイトと言えるのではないだろうか。

 次は、自己啓発の視点から見てみよう。
 ボブと出会ったのは、それが偶然だったのか必然だったのかは、ここでは関係ないこととする。
 ジェームズの思考と行動が、まさに自己啓発本に書いていることを実践していると思わない?
 ・訪れる障害・壁は、成長のために自分に乗り越えられるものしかやってこない。だか  ら、あきらめずに、考えて、調べて、行動する。
 ・愛する者のために与える。
 ・良い習慣を身につけることで悪い習慣を取り除く。
 など、自己啓発本をちゃんと読んだことがある人なら、一度は目にしたであろうことを、ジェームズはちゃんと実行している。そして、結果も出ている。
「運が良かっただけだろ?」そう、この「運」の良さ。
 自己啓発的に言うと、あきらめずに取り組み、失敗は次への架け橋だと思い、やり続ける人にこそ「運」はやってくる、ということに当てはまる。
 そして、この本の主題でもある「誰にでもセカンドチャンスはめぐってくる」ということ。
 セカンドチャンスは、いつも目の前に訪れている。それに気づき、つかみ、離さずにやり続けた人は、人生を変えることができる。
 ジェームズは、人はいつでも誰でも、どんなときでも、人生を生きることができる。と言っている。
 これも自己啓発では、多くの本で見かける言葉だ。

 そう、今から自分の人生は変わった。と宣言するだけでは、もちろん変わらないが、どんな人生を送りたいのか、心から思うことを紙に書き、その人生を送っている自分を想像し(妄想でもかまわない)、そして、声に出して宣言する。
「私は、そして私の人生は、今この瞬間から変わった」と。
 そして、そうなるために今やれることやり始める。

 もちろん、目指した人生にたどり着くまで、やめてもあきらめてもいけない。当たり前だ。オリンピックに出場したいアスリートが、日々のトレーニングをしないで、大会で優勝できるはずがない。
 資格を取りたいのに、勉強をしないで取れるはずがない。

 なりたい人生を送るためには、何が必要で、今の自分はその中の何をもっていて、何が足りないのか?
 足りないものを手に入れるには、どうすればいいのか。
 そこへたどり着くためには、どういう順番、手順、道のりを進むのか。

 ジェームズは宣言はしていないが、とりあえずの目標を決め、そこへ向かうために必要なことを考え、調べて、行動している。
 壁にぶつかったときも、ボブと出会う前はあきらめたり、自分から逃げていたのが、どうしたら乗り越えれられるか、しっかり調べ、行動している。

 そして、道半ばとは言え、ジェームズの人生は変化したよね。
 自分自身が成長し、人生も変わる。
 ジェームズの場合、ボブを飼おうと決めた時に、セカンドチャンスが訪れたのだ。

 にしても、ボブはかわいい。そして賢い猫だなぁって思う。
 続編も出ているらしいが、私は未読だ。

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