私の読書の履歴書32 30代2

「大衆操作」って言葉を聞いたことがあると思う。意味もなんとなくわかっているかもしれない。ちゃんと理解しているかもしれない。Yahoo!辞書で検索してみた。

大衆操作(読み)たいしゅうそうさ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
大衆操作
たいしゅうそうさ

体制側であれ反体制側であれ政治権力をもつ者が,その意図を大衆に気づかれずに,または隠蔽して大衆に一定の行動をとらせる過程をいう。通常は大衆説得の方法によって行う。強制的,暴力的手段によるのではなく,もっぱら言語や象徴操作によって大衆のうちにひそむ非合理性や情動性を一定の方向に傾斜させ,「強制なき同調」を調達するところに特徴がある。なお大衆説得が可能になったのはマス・メディアの発達によりマス・コミュニケーションが可能になったためである。
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デジタル大辞泉の解説
たいしゅう‐そうさ〔‐サウサ〕【大衆操作】
情報や宣伝手段などを利用して、大衆の思想や行動を特定の方向に誘導すること。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説
大衆操作【たいしゅうそうさ】

大衆の心理や感性を操作し,同調や動員を調達する手法。強制が権力の物理的な力による服従の強要であるのに対して,権力者が,シンボル操作を通じて服従者の自発的同調を獲得しつつ,究極において自己の欲する目的や方向に大衆を動員することをいう。
→関連項目スケープゴート|全体主義|大衆民主主義
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

大辞林 第三版の解説
たいしゅうそうさ【大衆操作】
権力者が情報・宣伝機関を独占的に利用して、大衆の政治行動を意図的に操作すること。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報
 Yahoo!辞書「大衆操作」検索結果より一部引用
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E8%A1%86%E6%93%8D%E4%BD%9C-91283#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29

つまり、今現在も、私達自身が気づかないうちに、そう思うように、そう考えるように、そう行動するように操作されているかもしれないってことだ。
数年前、数十年前と比べて、変わったことがないか思い出してみたらいい。
何か大きなことが起きた前後の違い、やたらメディアが騒いだ芸能人や有名人のスキャンダルの前後の違い。
いつの間にか、世界が、日本が、以前とは違う「普通」「みんながそうだから」「時代だから」という言葉や思いで、変わったこと。
けっこうあるよね?

もしそれが、メディアが意図していてもいなくても、いつの間にか大衆操作になっているとしたら?
もしそれが、国がメディアを使ってやっていたら?
そんな大げさなとか、いやいやいやいやとか言ってられないよ。
多くの国、特に先進国では、世界大戦中はどこでもやってたし。それが戦争してないから、今はやってないと言えるかな?

ネットの情報は本当のことを書いているかな?動画やテレビは本当のことを映しているかな?
日本はアメリカ寄りだから、ニュースなんかは特に、アメリカにとって有利な情報を流しがち。だって、ロシアや中国のニュースはテレビも新聞もほとんど流さないでしょ。
ロシアのニュースを日本語で掲載しているサイトもあるんだよ。

例えばこの2つのサイト。
・スプートニク日本
https://jp.sputniknews.com/

ロシア・ビヨンド
→ https://jp.rbth.com/

日本のテレビニュースでは流れていない日本の情報があったりして、なかなかおもしろいから、一度見てみて。

私はアメリカ寄りでもロシア寄りでもないし、左でも右でもない。
ただ、情報はバランスよく得たいと思っているから、こういうサイトを探してはブックマークしてる。
他の国、地域でも「ロシア ニュース 日本語版」「ヨーロッパ ニュース 日本語版」みたいに検索すれば、だいたい出てくるから、興味がある国で検索してみたらいいよ。

日本にいて、日本のニュースばかり見ているのは、じつはけっこう危ないってことに気づくから。
動画もそう。
You Tubeでおもしろそうな動画を観て、あなたにおすすめにある動画を観ると、さらにその先にあなたにおすすめがある。
このあなたにおすすめは、関連動画だから、観れば観るほどジャンル・思想・思考が偏っていくから、そこも注意したほうがいい。

ウィキペディアで村上春樹さんの『1Q84』の項を見ると、引用と共にこんな文章がある。

執筆の動機と背景
執筆の背景はカオスのように混沌とした冷戦後の世界で起きた1995年の阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件、2001年の9.11事件に言及した上で、村上は語っている。

「僕が今、一番恐ろしいと思うのは特定の主義主張による『精神的な囲い込み』のようなものです。多くの人は枠組みが必要で、それがなくなってしまうと耐えられない。オウム真理教は極端な例だけど、いろんな檻というか囲い込みがあって、そこに入ってしまうと下手すると抜けられなくなる」
「物語というのは、そういう『精神的な囲い込み』に対抗するものでなくてはいけない。目に見えることじゃないから難しいけど、いい物語は人の心を深く広くする。深く広い心というのは狭いところには入りたがらないものなんです」
— (毎日新聞インタビュー、2008年5月12日[11]より)
 ウィキペディア 1Q84より引用
  https://ja.wikipedia.org/wiki/1Q84

無意識に、操作されているかもしれない。
ということを意識して、客観的に冷静に感情を抜きにして、自分を俯瞰してみると、けっこう怖いことに気づくかもしれない。

じゃあどうすればいいか。
自分はどう生きるかっていうものをしっかりと確立することだと思うんだけどね。

というわけで、今回は前置きが長くなってしまったけど、本題に入ろう。

●海辺のカフカ

村上春樹さんの小説は出るたびに読んでたんだけど『ダンス・ダンス・ダンス』以降、なんかこう、私に合わないというか、なんか違う感がずっとあったんだよね。
『ねじまき鳥クロニクル』はおもしろかったけど、私にとって何かが違ってた。何が違ってたのか、考えても出てこないんだけどね。
『国境の南、太陽の西』『スプートニクの恋人』は、個人的にはランキング外。

それでも出せば買って読んでたんだよ。
そこへ出たのが『海辺のカフカ』だった。
また合わないかもと思いながら読んでいたら、時間を忘れて上巻を読み終わっていた。
久しぶりに私が読みたかった春樹作品を読めたことが嬉しくて楽しくて、食事もとらずに下巻も一気読み。
1週間置いて再読したし、今までも数回読み返してる。

ギリシア悲劇のオイディプス王を下敷きにしてる展開があるんだよ。
カフカ少年と中田老人のパートに分かれて話が進み、二人が会うことはないんだけど、中田老人パートはカフカ少年の行動を補完したり手助けしたりする役割を持っているんじゃないかと私は思ってる。

森、影、概念としての悪など村上春樹さんの作品に共通するキーワードが盛り込まれているところも好きなんだよ。

村上春樹さんの作品って、役目が終わったら理由もなく出てこなくなる登場人物がいるんだけど、これは神話的な物語の特徴でもあるんだよね。文学以外(大衆小説でもエンタメでもラノベでも)でこれやったら失格なんだけど。

これからもきっと数年おきに読み返すんだろうな。

ちなみに、物語を読むだけなら文庫でもいいけど、単行本は村上春樹さんが紙質や本文中の装丁にもこだわったそうだから、可能なら単行本をおすすめするよ。

 

 

Amazonはこちら – 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

とまあ、今回は前置きが長くなってしまったこともあって、ここまで。
次回は『1Q84』他。

何度思い出しても、このあたりから読書量が激減してるなぁ。音楽もあまり聴いてなかったし、映画も観てない。
ま、生きてればこういう時期もあるよね。

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