私の読書の履歴書15 20代前半2

今回は避けては通れない村上春樹さん。
って言っても、村上春樹さんの著作に関する解説とか謎解きとかそういう本もサイトもブログも星の数ほどあるから、そういうのはそちらを参考にしてもらって、あくまでも私が当時読んだ時の感想を主に話していく。

村上春樹さんと村上龍さんは、デビュー作から順番に読んだ。村上龍さんは途中までだけど。それについては、次回以降、村上龍さんの本を読んだことを話すときに。

村上春樹さんの作品は多様に読める。
だから、多くの解説本や謎解き本が出ては消えていった。
いまやそれらの本を買わなくてもネットで検索すれば、どれを読めばいいのかわからない数のサイトやブログがヒットするし、どれが正解かもわからない。
でも安心してほしい。

村上春樹さんは、読んだ人の解釈がその人にとっての正解だっていうようなことを言ってるから。
そんなこと言うから、数ヶ月、数年経つと、なんとなく読み返したくなる作品があったりする。

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Contents

●風の歌を聴け

村上春樹さんのことを知ったのはテレビで『ノルウェイの森』がバカ売れしてるっていうのを見たのがきっかけだ。
でも当時は単行本だったし、上下巻買うお金があったら文庫本何冊買えるんだろうと思っていたから『ノルウェイの森』は文庫待ちすることにして、どうせならデビュー作を読んでみようって思った。

書店に行って、棚を見るとどうやら『風の歌を聴け』がデビュー作のようだし、薄いし、安いしで、即買い。
自分に合うか合わないか、おもしろいかどうかもわからないのに2作目の『1973年のピンボール』も同じくらい薄いし安いからって理由で同時に買った。

『風の歌を聴け』は29歳になった主人公「僕」の、1970年8月8日から8月26日までの18日間の物語だ。
これについてはどう考えても、どう検証しても日にちが足りない説があるけど、まあ、それを楽しむのなら「風の歌を聴け 謎」とかで検索してみればいい。

私はそういうことは気にせず「僕」と「鼠」との関係を自分と友人との関係に、あの喪失感を中学校・高校の時につるんでいた仲間たちとの日々と、あの日々が終わってしまったことに気づいてしまった自分に重ねていた。

時は変わり、時代は流れ、季節は移り変わっていく。
仲の良かった友人や仲間も、同じ市内にいながら会う機会が減り、高校卒業後、市外県外へ行った者もいた。
時間は戻らない。
あの時の時間は戻らない。

と、この本を読んで感傷的になった。
本の中では亡くなった人もいれば、恋に破れた人もいる。生き残った人もいれば、残された人、捨てられた人もいる。
それでも何があっても、何を失っても、何を抱えていても背負っていても、生きている限り生きていくことだ。
って思ったよ、あの時。

タイトルの『風の歌を聴け』の意味はわからないっていうか、これもけっきょくは、読んだ人それぞれが考えたこと思ったことでいいのだろう。
私は「風の歌」とは今、こうして生きている人々、そして、記憶の中に残っている亡くなった人々の言葉、声なんじゃないかなって思ってる。

ちなみにだけど、一度読み終わってから、サイトやブログで『風の歌を聴け』を解説しているところをいくつか読んでみたらいい。「おぉ。そういうことか」「なるほど、そうやって読むのか」って思って、再び読みたくなるはずだ。

 

 

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●1973年のピンボール

初期三部作と言われる中で、個人的には印象が薄い作品。
覚えているのは、ラストの場面なんだけど、まさかここで書くわけにもいかない。

『ノルウェイの森』を読んだときに思ったんだけど、この『ノルウェイの森』は、初期三部作を読み解くヒントだったんじゃないかってこと。
キーワードは直子。
直子を起点において、登場人物を初期三部作に出てくる人に当てはめていけば、なるほどと思えるんじゃないかな。

それと、初期三部作は「僕」だけの物語じゃない点は気をつけたほうがいい。
「僕」と「鼠」の物語だから。

この次の『羊をめぐる冒険』を読むためにも、この『1973年のピンボール』は読むべきだ。
印象が薄いと言ったけど、後半からはページをめくる手が止まらないから。後半からね。

 

 

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今回は『羊をめぐる冒険』まで話したかったけど、長くなるから次回。
あれだね、村上春樹さんの作品について話すと、予想を遥かに超えて話しそうになるんだよね。
ネタバレにならないように気をつけてても。

では、また次回。

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