武士道 – 著/新渡戸稲造

2020年9月12日

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■人に勝ち、自分に克つ 強靭な精神力を鍛える■

「人に勝ち、自分に克つ 強靭な精神力を鍛える」
 これは、このPHP文庫ではなく、三笠書房の知的生き方文庫版の武士道のサブタイトル。

 この本は、元々は新渡戸稲造さんが英語圏に武士道を紹介するために、英語で書いた本だ。エジソンもルーズベルト元米大統領も、この本に影響されたと言われている。
 とくにルーズベルト元米大統領は、この武士道に感銘を受け、自分の周りの人へプレゼントしていたそうだ。

 この本の何がそれほど、人を引きつけ、影響と感銘を与えたのか?
 それは、ずばりこの本のタイトル『武士道』そのもの。

 300ページ弱のこの本の、目次を見ただけでも、どのようなことが書いているかが、ざっとわかると思う。

■目次

第一章 武士道とは何か
第二章 武士道の源をさぐる
第三章 「義」武士道の光り輝く最高の支柱
第四章 「勇」いかにして肚(はら)を練磨するか
第五章 「仁」人の上に立つ条件とは何か
第六章 「礼」人とともに喜び、人とともに泣けるか
第七章 「誠」なぜ「武士に二言はない」のか?
第八章 「名誉」苦痛と試練に耐えるために
第九章 「忠義」人は何のために死ねるか
第十章 武士は何を学び、どう己を磨いたか
第十一章 人に勝ち、己に克つために
第十二章 「切腹」生きる勇気、死ぬ勇気
第十三章 「刀」なぜ武士の魂なのか
第十四章 武士道が求めた女性の理想像
第十五章 「大和魂」いかにして日本人の心となったか
第十六章 武士道は甦るか
第十七章 武士道の遺産から何を学ぶか
註・解題・解説

■読後の感想■

 第二次世界大戦が終結した日まで、多くの日本人が持っていた精神が、この本、武士道の中に書いている。
 私は、右でも左でもない。
 軍国主義でも独裁政権主義でも、共産主義でもない。

 この本を読んで思ったのは、たしかに時代的に合わないことも書いているけれど、私も含めて、現代の日本人は、あの戦争の後、失くしてはいけないものまで失くしているんじゃないだろうか。

 こんな私程度に本を読んでいても、あの戦争の後、日本は米の占領下に置かれていて、憲法も教育もGHQという米の指導の元に作られたものであることは、わかってる。
 日本国憲法は、素晴らしい内容だと思っていますし、憲法9条は守るべきものだとも思う。

 右でも左でもないので、どちらにも転ばないようにこの記事を書いているけど、終戦後の教育、メディアによって、日本的なものや東洋的なものは、西洋的なものより劣っているという価値観を、知らず知らずのうちに身につけられていたのは、否定できないのでは?

 日本が、日本人が持っている、素晴らしさ、誇り。
 これらが、海外でどれだけ賞賛されているか。どれだけ羨ましがられているか。
 現代に生きる私たちが、当たり前だと思っていることが、海外の国々では考えられないことだったりすることが、とても多くあるんだ。

 そして、それらの多くは、戦争前から、ずっとずっと長い間、この国に生まれた人々に受け継がれて、今まで残ってきた、形に表せないもの。

たしかに、日本も日本人も、良くないところはありますし、良くないこともしてきた。美点だけを取り上げて、日本万歳なんてことは言わない。

 この本を読んで、かつての日本人がもっていた精神を、今の私たちが無意識に持っているものを、言葉として知るのではなく、言葉として確認するのは、けっして損にはならない。

 また、人生に、仕事に、自分自身を変えるためにも、この本には、多くのヒントが書いてある。

 特に、西洋発の自己啓発本、スピリチュアル本を読んで、真面目に行動に移し、半年以上続けたけれど、どうもしっくりこなかったという方は、昔からこの国にある、自己啓発の精神と心、方法を、まずはこの本から学んでみるのも、いいかも。

 武士道に興味を持っているけど、どの本から読めばいいか迷っているのなら、まずはこの『武士道』を読み、次に『葉隠』『留魂録』『五輪書』を順番はどれでもいいけど、読んでみたらどうだろう。

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